男性との会話。
「それで今持っている着物は何枚なんですか?」
「赤い正絹、郡上紬もどき、赤い紬、誂えた紬、洗える着物、注文してるのが2枚、小紋が3枚、合計10枚ですね。夏のぼた織りも入れれば11枚。」
「帯は?」
「極楽鳥の名古屋、絞りに薔薇の刺繍が入った名古屋、赤い紬と揃えて買った縞の名古屋、辻が花、洗える帯、ダリアの帯、合計6本だ。半幅2枚は除外してます。」
「で、その他には?」
「下駄がみっつ、草履がひとつ、帯揚、帯じめ、襦袢や腰ひもなんかの下着や呉服用品の類いがいくつか、風呂敷、竹カゴ、手拭いなんかもいろいろ。」
「結構な量ですね。記録してるんですか?」
「うーんとですね、あたくし、着物手帖をつけてるんです。どこそこでなにを買ったか、なんで買ったか、誰と一緒だったか、支払方法はクレジットかデビッドか現金かとか、そういった情報も一緒に書いてるんですよ。やっぱり経済的に歯止めがきかなくなると怖いし(きいてないけどね)、自分の趣味も記録できるし。記録することが好きなんで。記録といえば、このまえの中日対ヤクルト、中日が21失点で負けた(あくまでも中日が主体)ゲームですが、あれは球団記録に残る大失点で(以下10分ほど続く)」
「それらで全部でおいくら万円なんですか?」
「下駄とかも入れて?」
「そうです、総計で」
「笑いませんか?」
「笑いませんよ。」
「40〜50の間です。」
「どうして中途半端な金額なんですか?」
「仕立てあがりをまっていて、内金だけ入れてる着物があるんです」
しばらくの沈黙の後。
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この中に着物一式入ってます。 |
「コムデギャルソンで男物のスーツを買うと12〜15万くらいするんですよ。シャツが1〜2万。靴が3万くらい? ネクタイが1万〜2万。サラリーマン一丁ができあがるのに、15〜18万くらいかかってるわけですよ。」
「まぁそれは見栄えのよいサラリーマンの話ですよね。」
「そこへいくと、菅沼さんが着物着て歩いてる姿は、平均4〜5万でできあがっているというわけなんですね。」
「マックスマーラのジャケットより安い金額ですよ。」
「うーん。」
まー、私が、最初っから反物だけで40〜50万する着物にはまっていたら、こんなにのんきにしてはいないと思いますけどね。群ようこさんは、OL時代に有り金全部はたいて130万の黄八丈を買ったそうですが、そんなふうに反物にくらっと惚れるときがくるのかしら? 今の私は、着物を着ていること自体が楽しい時。一人で買物に行って、あれが好き・これは趣味じゃないと言うことはできるけれど、どれがいい・どれが悪いと判断できる状態じゃない。そこまで目が肥えたとき、次のステージが開いてしまうようで怖い。まーそれはそれで人生の深みが広がったと思えばいいじゃないすかー。
しかし、あたしゃ2月からこっち、洋服一枚も買ってませんよ。
2003.5.3
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