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「ちどり」という着物屋さんを始めました。

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与那国紀行3 島の
与那国紀行4
ハレの着物、ケのお顔

タイトル

意地、である。意地が勝つのである。

どこまで着るかわからないくせに、6月9月に着る単を調子に乗って何枚か買ってしまった。さらにもひとつ言えば、夏大島を買ってしまっているのである。夏大島である。袷の大島紬も持っていない身分、もちろん自分で反物から買えるはずがない大島。その、大島の、夏だけに着ることができる夏大島を、である。

夏の着物といえば、夏大島、夏塩沢、越後・能登・近江・宮古・八重山上布、小千谷ちぢみ、明石ちぢみ、芭蕉布、駒絽などがある。
沖縄県出身・芭蕉布。芭蕉布は3年を経た糸芭蕉の成木の幹から繊維を取って紡いでいるんだそうです。かつては琉球王朝への貢納布として織られていました。今、沖縄ではその若木や若葉が観賞用に盗難されているそうです。どうすんのよっ、あたいが将来お大尽になったとき、芭蕉布の着物が買えなくなるじゃないっ! それはさておき、これは古着だってなかなか出ないし、相当な金額のものですし、反物ひとつで二百万上の世界のお話ですので、それはさておきまして。

新潟県出身・夏塩沢は、原料に絹糸、駒糸をつかって、しゃりっしゃりっとしているしぼのある絹織物。私の手は、涼しげな印象なのに、なぜかやわらかくてぬくもりがあるような感触を覚えています。

駒絽とは、駒糸を使って織られた絽織物。

さて、鹿児島県出身・夏大島。
奄美大島の特産品である大島紬。夏大島は、これとは違い、薄地の盛夏用にするため、細い強撚糸を使った織られた物。さらさらとした生地が特徴。身にまとうと、衣ずれの音がする。手でもつと、おっそろしく軽いような気がする。やさしくなでると、ちょっと意思があるような張りのようなものを感じる。着て歩けば、体から、さらさらと布が動きだすのではないかと思う。
この夏大島である。ちょっと贅沢な織物なんです。丹精こめて織り上げられたその織物は、7月と8月にしか着てはいけないものなんです。

これを買ってしまったものだから、さて大変だ、これを着なくちゃ話が始まらない。しかしここは東京、真夏は日中体温近くまで気温があがる東京。今まで綺麗になるための努力なんて一回もしたことがなかったけれど、今年の私はちょっと違う。そういう努力と忍耐をいとわなくなってきている。うふふんふん。ここで意地の出番ですよ。蒸し風呂東京で、着物を着るために、意地を発揮するのですよ。

というわけで、梅雨の真っ只中、湿気は最高潮、曇天の下、この真夏に夏大島を着るために、そのトレーニングとして昼間から着物を着て出かけてみた。
実は、私が着物を着る時間帯は、夜なんである。春先は昼間から着ることもできるけど、6月にもなると昼間は暑くて着られない。その私がっ、夏大島のためにっ、午前10時に地下鉄に乗って新宿まで出かけてみたんですよ。

都会は暑い、そして寒い。ビルの外はむぁーと暑く、建物の中に入れば着物を着てても涼しく感じられる。このエアコンの設定温度をあと2度くらいあげておけば、外気はもうちょっとすっきり感じられるのではないでしょうか。
歩いている間は汗を感じないが、どこかで体を落ち着けたときの最初の数分、体がかっかと暑くなる。十分後には、体も落ち着き、汗も引き、ひとごこちつく。この最初の数分が発生しないような動作をすればよいのだろう。そこで日頃の自分の行動を振返ってみた。

1.待ち合わせの時間に遅れないこと。そのココロは慌てて走ったりしなくて済むから。慌てて走ったりするから汗をかくんである。

2.下着と帯の近辺を少々工夫する。先日呉服屋さんで夏用のある種の下着を買ったのですが、これがすこぶる具合がいい。いやぁな汗をかくところのごにょごにょ感を拭い去ってくれる。生地はさらっとした綿で、やっぱり人間は自然の素材にくるまれているのが一番具合がいいのだなぁと改めて感心する。しかし、この暑さ対策の下着姿では、人前で着物を脱ぐチャンスは一切奪われてしまうけれど、本人が少しでも涼しくすごせることのほうがこの際大事。まぁ、なにかそういう艶かしいイベントが突然発生したときは、あたいも四半世紀以上生きているんですから、なんとかすることができますことよ。ほほほ。

早く夏大島が着たい。季節がめぐるのが待ち遠しいだなんて、着るものに対してそんな気持ちを抱くなんて自分でも不思議。

しかし、真夏の不思議。
肌がむき出しのワンピースやら裸に限りなく近いお洋服姿の女性より、肌を全て被っているかのような着物を着ている女性のほうが涼しげに見えるのは、いったいどうしてなんでしょうね。

全然関係ないけど、イチローは狙ってホームラン打ってるよね。

イチローが2本ホームランを打った日
2003.06.18

KIMONO MICHI −キモノミチ−着物道−きものみち−2003-2005