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「ちどり」という着物屋さんを始めました。

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メンチきります
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母の気概2
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名古屋の秘密
防寒中
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和装の下着再び
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奄美紀行5 最終章
着物情報 おさらい
野球の季節
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八丈紀行4 飲酒編
八丈紀行5 観光編
琉球泥酔布紀行
与那国紀行1 南へ
与那国紀行2 西へ
与那国紀行3 島の
与那国紀行4
ハレの着物、ケのお顔

タイトル

歩くと重い草履が苦手で、下駄を履いてばかりいる。

下駄といっても、形は草履と一緒で、つま先から踵にかけて段々と厚くなっているもの。OLさんが会社の中で履く楽なサンダルと同じくらい、足には楽なかたちで、二つの歯で大地を踏み締めるものではない。

最初に買ったのは、紫の鼻緒の桐の下駄。
はきもの屋さんではエナメルの草履がよく並んでいるが、あれは、台の部分にフェロモンをつめる部分があって(嘘)、そこが重い。厚底ブーツを履いたことはないが、草履を履き続ければあれと同じだるさを味わえるのではないか。草履本体が重いだけでなく、エナメルの鼻緒が足をぎちぎちに締め付け、それも苦痛になる。過去に味わったことのない痛みを、足の指が感じる。歩くのも困難になってくる。
なので、下駄を履いて外を歩いてみると、足取りがとても軽くて嬉しかった。また、鼻緒の色と、半襟の色をあわせるという楽しみを知ったのもこの下駄だ。
しかし、このぽってりとしたかたちが、幅広の私の足の形をそのままかたどってるように思えてきてあまり履かなくなった。

二つ目がこちら。もう、本当に、私は買物が下手です。散財しすぎです。身長が+7センチ以上にもなるぽっくりを買ってどうするつもりだったのでしょう! しかも、上野桐の下駄と違って、塗り(?)なので、足袋がつるつる滑る。鼻緒を指でしっかりと押さえ、足の裏の全筋肉を集中させて、足の裏で下駄を運ばない事には歩くことができない。
その機能性の悪さについては、私一人が我慢すればいいものだからまだいいとして、こんな赤いかわいらしい柄の鼻緒が、董のたった年の女に似合うと思っているのかーっと自分で自分をとっちめたい。もっと若くてかわいらしいお嬢さんに履いていただきたい。くすんくすん。

三つ目が、「えぇー、京王で?」と人に言われた京王百貨店呉服売場の片隅のはきもの屋さんにて購入したこの下駄。これは鼻緒がぱきっとした色で格好いい。紫と黄色だなんて、プリンスのジャケットなどでしかお目にかかれない色の組み合わせだけど、この鼻緒の下に白い足袋がきゅっとおさまっている姿を想像してごらんなさい。かっこういいじゃないですか。
しかし、この下駄のさきっぽが欠けてきたり、傷がついたりしてきた。日本橋三越の履物屋さんのお姉さんは、「マジックでも塗っておけばいいのよ」と取り合わなかったけど、いいのかしら、どうかしら。

そんな三越のお姉さん(55才くらい?)が、進めてくれたのが、この下駄。6000円。「あら、あなた、紺色の夏大島だったら、こういう赤色のがかわいいわよ」。先達の言葉には騙されるようにころっと信じてしまう着物初心者。歯のある下駄もおもしろいかもと考え、ついつい購入。
歯のある下駄は、台の部分がフラットなので、身長+歯の高さ=装用時の背丈となります。そのフラットな台の上での重力の運び方が、ハイヒールとは明らかに違うので、試着の段階でさえもうふらついてしまった。歯のある下駄は、平らかな土地を歩く分には問題ないが、駅の階段などは怖いだろうなぁ。
しかも、買ったあと、うふふふふと浮れた気分で地下鉄に乗ったとき、この下駄の色が禿げたとき、対処すべきマジックを新たに購入しなくてはならないことに気がついた。ぎゃふん! 

それでも、私は、この博多帯っぽい鼻緒の下に、白い足袋がきちんとおさまっている姿や、その上に紺色の夏大島を着た自分の姿を想像すると、もうどうしようもなく、この下駄がかわいらしくてかわいらしくて仕方ないのです。

それにしても下駄の足音は、それまでその人がどんな洋服を着て、どんな歩き方をしてきたか、どんな肉付きをした足か、はっきりと教えてくれるものですね。セクハラになるので、これ以上は書きませんけどね。
ま、そういうことを教えてくれるのは、下駄だけじゃないんだけどね。

日本がアウェイで戦ってる朝
2003.06.21

KIMONO MICHI −キモノミチ−着物道−きものみち−2003-2005