名古屋帯はなぜ名古屋というのでしょうか?
名古屋帯の名前の由来のお話その1、その2、その3。以下引用。
明治三十年代、きもの改良運動が盛んになり大正九年には「日本服装改善会」が発足しました。当時いくつかの改良帯が考案されましたが最も広く普及し定着したのが名古屋帯でした。名前の由来は名古屋女学校の創設者越原春子女史が考案した帯を、名古屋の呉服店が着目し「名古屋帯」という名で市販したのがきっかけでした。
きもの改良運動のひとつとして生まれてきた名古屋帯ですが、なにをもって名古屋帯というのかというと、単太鼓で結ぶ、軽くて締めやすいもののことをいうようですね。こちらのページが一番濃いように思われますので、御参考までに。
さて、その名古屋帯のお仕立てにもふたつの種類があるようで、「閉じ仕立て」と「開き仕立て」。一番最初に買ったものが、閉じ仕立ての名古屋帯だったので、帯というのはなんでもかんでも、振袖の帯も、結婚式のときも、全部こういう帯で結ぶのかと思っておりました。この「その場にふさわしい帯」のお話に足を踏み入れるとまた話が長くなるのでここらへんにしておきますが、私は、帯というものはひとつの形しかないと思っていたのです。
最初に買った帯とは、下図左のもの。胴に巻き付ける部分があらかじめ半分に縫い閉じられていて、お太鼓のはじまるあたりから帯全体の幅になっているもの。お太鼓ってのは、背中にしょってる四角いアレですよ、アレ。この帯は、胴に巻く部分が最初から半分になっているので、巻くのが簡単で時間もかかりません。これを「閉じ仕立て」というのです。
次に買った帯が、この「閉じ仕立て」ではなく、「開き仕立て」というものでした。たとう紙から取り出し、帯を広げた瞬間、だだーっと一定の幅がある帯を見て、これは名古屋帯じゃないんだ、どうやって結ぶものなんだろう、と瞬間、パニックになりました、まるでローストビーフを初めてみた人が「なんだ、この焼豚は」と疑問に思うかのように。開き仕立ての場合、胴に巻く部分は自分で半分に折らないといけないので、ちょっとまごついてしまいます。そのまごつくのが自分でもイヤで、なかなか使わずにいました。
しかし、ある日、銀座の古着屋さんで、店員さんに開き仕立ての帯を進められました。個性的な柄で、黒い帯が好きな私は、ちょっと食指が動いたのだが、結ぶのにもたもたしちゃうからなぁと躊躇してる旨を正直に伝えました。そしたら、その店員さん(私の父親と同い年!!)はこう答えましたの。
「バカねぇ。開きの帯は、胴に巻く部分の幅を自分で自由に決められるんじゃない。粋に結びたかったら、自分で締め方を工夫しないと!」
あぁっ、そうだったのですかっ! 上の図を見てもわかるように、「閉じ仕立て」のものは前に出る柄が決まっていて、半分に縫いとじられた部分にきちんと柄がおさまっているのです。それに対し、「開き仕立て」のものは柄がはみだしているものもあるようです。幅を太くしたり、斜めにはみださせているかっこいい人を街で見かけますが、これはそういう技を使ってらしたのですね。
帯の世界は奥が深いもんです。丸帯、袋帯、名古屋帯、半幅帯・・、種類もいろいろあるし、使い分ける場面もいろいろある。現代社会は、このような「しきたり」のようなものがあまりにも減りすぎてしまい、着物マニア子女たちはあえてこのようなルールが激しく交錯する社会に身を投じることにより、生きている実感を覚えているのかもしれませんね(なんなんだ、このまとめは)。
2004.01.17
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