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イギリスにテレタビーズがいれば、極東の島にはシロタビーズがおりますのん。
シロタビーズ、それは、白い足袋を履く女たち。あ、男たちでもよいのですよ。
あたしゃ、柄ものの足袋に抵抗がありまして、理由は、着物とうまくあわせることができないってことだけなんです。
肩から続く着物の柄は、帯で一度、分断されますね。これはよい。さる殿方に「キモノの帯って、男のスーツでいうところのネクタイみたいなもんですか?」と質問されたことがございますが、あたしゃこのとき、パンッと膝を打ちました。帯のことを光り輝く箪笥自慢なチャンピオンベルトかとずっと思っておりましたが、確かに役割としては、ずぼろーんとした着物姿のアクセントと解釈したほうがよろしいでしょう。なので、帯が着物の柄をばしっと分けることについては異論がないのです。というより、分断しないことにははじまらない。他には、着物が着られない。
さて、帯から下、お端折が数センチでまして、また着物の柄が、臍の下あたりから続くわけですよ、すらすらーっと、くるぶしのちょい下のあたりまで。さて、そこで柄ものの足袋をもってきたとき、着物の柄をまた分断しなくっちゃいけない。それが私には抵抗がある。
着物と同じ柄ゆきの足袋を持ってきたら、全身に統一感が出過ぎてしまい、モジモジ君みたいに見えないだろか? 着物の柄と全く違うものを持ってきたら、着物の柄を思いきり良くすとんと切ったその下に、別世界の地平が開いてしまわないだろうか? さらに下駄の鼻緒の柄が、足袋の柄と喧嘩しちゃわないでしょうか? 全体的に、襟から下駄まで、喧嘩×喧嘩×喧嘩×喧嘩×喧嘩×喧嘩みたいな着姿になっちゃないでしょうか?
そう考えると、柄もののコーディネートに自信のないわたくしは、ちょっと足がすくんでしまう。 そして無難に白足袋をもってくる。白足袋だと、襟から下駄までを飾るいろいろな色が、途端に、きちんとした全体像としてひとつにおさまってくれるような気がする。なんて便利な白足袋! 世界の中心で『ビバ白足袋』と叫んだりしても可!
これからも白足袋中心で行くと思うのだが、かといって、原宿系・中央線系着姿にまったく興味がないわけではない。長い目で見て、9割白足袋:1割柄足袋の比率になるだろう。おそるおそる、慎重に慎重に、柄足袋を持ってきてもおかしくない紬のきものに、柄足袋をあわせる自分の姿が今から目に浮かびます。ただ単にビビリともいいます。
2004.02.16
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