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こういうこともあるでしょうな |
今年はじめての夏日を観測した6月の平日、ちょっとそこらを綿麻で練り歩いてみましたら、着物を着た女性数人に出くわす。水商売のおねいさんや呉服関係の仕事してるらしい人は、足さばきと着慣れた感じでそれとなくわかるものですが、そうじゃないお嬢さんもそれとなくわかるものです。スーツ着た彼氏さんと手をつないで白い紬に赤い帯のオカッパの彼女、これまたスーツ着た彼氏さんと手をつないだ赤い縞の銘仙(?)に半幅帯の髪をあげた彼女。まぁまぁ、かわいらしいわねぇ。
すれちがうとき、私は、瞬時に、相手のすべてをチェックしてしまう。これはキャンディ・キャンディのイライザにも見える、悲しい女の性。
うわー、素敵な織の帯! でも、ちょっと御召しになってる紬と色が重なってて重いような気もするけど、ある意味くろうとっぽい着こなしと申し上げておきましょう! 帯〆もこりゃ渋い辛子色ですな、姉さんやるねぇ。でも、この時期だとちょっと色が暑いような気もするわ。だけど、帯揚げの色が全体によく合ってていいスパイスになってるわ。でも、ちょっと気張ってるって感じぃ? だめよ、真理! それは人の趣味の問題なんだからとやかく言っちゃだめ! 言っちゃぁだめだけど、あたいだったら、あの紬は袷にするわ。
と、誉めてはけなし、けなしては誉め、もいっちょけなしてさらに誉め、誉め終わっては「あぁ、あの帯・・・欲しい」とココロの中でつぶやいてしまう。すれ違う相手もそうおもっているのかしら。
着物を着た年配の女性はたくさんみることができるけど、同世代で着物を着ている人はあまり見ない。銘仙ギャルたちとはベクトルが違うし、若奥様とは生活が違う、水商売のお姉さん達の着物とも目的が違うし、ましてや呉服屋姉さんたちとはキャリアが違いすぎる。なので、たまに同世代で気侭な暮らしをしてそうな自分によく似た環境とおぼしき人の着物姿に出くわすと、まじまじと見入ってしまう。
いや、ほんとうに、いろんな着物姿がございますことよ。雑誌などに載っているわけではない、街を歩く女性たちの生きた標本はとても勉強になります。あ、正しくは「見本」。
2003.06.06
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