実は久米島にいってきました。
土曜の夜、那覇でビール飲んでから久米島入り。台風がきてるとは知ってはいたが、本土の、それも首都圏の台風しか久しく経験していない私、沖縄の台風をなめておりました。居酒屋で飲んで、ここちよく酔っぱらってから眠りにつき、日曜の朝起きたら、早速台風21号がそこにいた。泊まった部屋のまん前で台風の目が暴れてるような、凄まじい暴風と雨の眺め。その日は丁度久米島上空に21号ががっつりといて、飛行機やフェリーが身動き取れる状態ではなかった。外に一歩でも出られるんでしょうか、とビビるわたくし。ホテルのロビーでは、本日全便欠航のニュースに、出発の荷物をもった家族たちががっかりと肩を落としている。明日になれば大丈夫かしら、と心配しつつも、酒を飲んで過ごす。
翌月曜、私が東京に帰る日。いろいろとじたばたしましたが、この日も結局全便欠航。一度宮古島方面に南下した台風が、また久米島方面に戻ってきたためらしい。窓から眺める椰子の木は、昨日は南向きの風にあおられていたが、今日は北向きの風にしないでいる。あらら、本当に台風って時計みたいにぐるぐるまわっているのね、と目で確認。那覇からは飛行機が飛んでいたようだったが、その那覇久米島間の100kmをわたってくれる乗り物はなにもない。3分ほどくらっとめまいがしたが、ま、飛ばないものは仕方ない、と、空港からタクシー飛ばして、久米島紬の里 ユイマール館へ。
ゆいまーる館ってなにかといいますとね、久米島紬事業協同組合さんがつくった久米島紬の技術や歴史を紹介し、織りや染めを体験させてくれる場所なんです。で、そこには展示品販売場なんかもございましてね、いわゆるB反といわれる、検反時にひっかっかってしまった着尺が展示即売されているのです。素人目にみても「あぁ、これは確かに」とわかるものもありますが、「これの一体どこが?」というものもあります。そういった事情は値札にちゃんと反映されています。また、誰が織ったか、どういう問題があるのかも、わかるように札に明記されているのです。
好みの柄の着尺が二反あり、地色が明るい茶色のもの値段Aのものと、濃い黒さのもの値段A+αに悩む。5分ほど唸ってから濃い黒いものに決める。織りが断然シャープで、福木の色のツバメ(トゥイ・グー)がきっぱりと空を飛んでいる。少し軽やかな柄ゆきのものがいいと思っていたので、それも好みにぴったり。カッとクレジットカードが閃光を発したその後、わたくしの手元にやってきました。あぁ、久米島をゲットした瞬間でございました。
足取りも軽くゆいまーる館を出た瞬間、「あいたたた!」と暴風に飛ばされてきた雨がつぶてのようにうなじに当たる。あいたたた! その日は曇天とはいえ、雨がなく、暴風程度で済んだのでまだ外をノンキに歩けましたが、そりゃぁもう大変。風だけでも狂暴なんですもの。
海亀好きの人必見の海ガメ館に行ったり、6月にオープンしたばかりという海洋深層水施設・バーデハウスに立ち寄り、またビール。欠航便難民対応料金で延泊させてもらうことになったホテルに戻り、ビール。一旦寝てビール。夜の十時頃に起きてラウンジ襲撃。三角形のこじゃれたカクテルグラスに入った青色やら赤色やらの液体をごくごく飲む。だって1杯600円とかなんだものぉー。
翌日、午後5時頃発の那覇行きの飛行機にようやく乗れて、那覇空港から午後7時発羽田行きへ。天空には中秋の名月。空港で最後に買ったビールで撃沈する三十路織物購入紀行は、モノレールを降りてからすぐ駆け込んだ浜松町のおやじ居酒屋でしょっぱい焼き魚を食べることにより無事終幕を迎えたのでありました。ニンニン。
そうだ、私は久米島紬に会いにきたのだ、台風のためすべての行動が制限された結果、そういう旅になりました。
【久米島観光ガイド】
久米島は、丸くて小さな島。こぢんまりしていて、沖縄本島ほど人が多くなく、石垣島ほど遠くなく、静かで自然豊かな沖縄を楽しみたい人にはむいていると思います。タクシーは初乗り450円でどこに行くにも便利ですが、空港から飛行機の発着にあわせて路線バスが出ているので、それを使ってもよいでしょう。
イーフビーチのホテルの近くに居酒屋がありましたが、「畳の上でゆっくり飲みたいわぁ」という方には、『海坊主』がおすすめ。その近くに酒・タバコ完備・24時間営業のSPARもあるので、お買い物はそこでどうぞ。
島には、いたるところに、福木が植わっており、美しい眺めでした。また、形のいい松も見られ、♪緑の島だよ、 春の島(by 登川誠仁)。
天気がよければ、「はての浜」という全長7キロのビーチに行きたかったのですが、それはさすがに無理でした。帰りの機内から、ビーチを眺めることができましたが、弓なりのビーチは白くて長くて美しくて、いつかまた、必ず、天候のいいときにいってみたいと思わせるものでした。
ゆいまーる館は、B反ばかりではありますが、気に入ったものがあればお買得なことは間違いないです。マネキンが羽織っているものも売り物なので、そこにいる方にお願いして見せてもらうといいでしょう。
ちなみに、この久米島紬の八掛は朱色がかったオレンジにしました。無難といえば無難。また飲みごもりに出かけてもいいなー、久米島・・・。
2004.10.10
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