先日、近所の骨董品屋さんから、仕付け糸のついたようなものから昭和はじめのアンティークものまでいろいろ取り揃えて展示会を行なうという恐ろしい催し物へのDMが届きました。そんなDMは目の毒だよね、人妻ちゃん、ねっ人妻ちゃんと、手を取り合いながらその店までゆるい坂道をのぼっていくと、織物系を御召しになった奥様方がわらわらと降りてくる。あきらかに展示会帰りとわかる集団。私も将来あんなふうになるのかしら、こまったなー。
それはさておき、その店で、ちゅどんちゅどんと地雷が鳴る。宮子上布の縞をはおり、その男前っぷりに自分で自分にため息をつきました。「あぁ、あたしったら、何年やっても真打ちになれない二つ目の落語家さんみたいに格好いい・・・・、自分マイラブ・・・」。人妻ちゃんたら、越後上布を握りしめたまましばらく黙っているし、私は私でうっとりしてるし、まったく困ったもんですよ。しかし、いつまでもうっとりしてるわけにはいかない。グレーの地に、またちょっと濃いグレーのかわり市松模様の正絹の小紋もはおってみると、こりゃまた具合がいい。帯ひとつで表情ががらっとかわる点もちょっといい。あの唐子の帯に、唐草の帯、なんでもいいわね、ピンクの帯も欲しくなるわわんと、夢想ループに陥った。さて、決断のときがきた。人妻さんと「なにを買うべきか」相談しあう。
「宮子上布は織物としてとてもいいんだけど、縞は柄としてポピュラーだから出会うことができる」「この季節のワードローブとしてそろえるべきものはどっち?」「よーく考えてね、真夏は夏大島一枚で済ませられるかもしれないわよ」
ということで、小紋を買ったんですよ。小紋をっ。
で、喜んで着たわけですよ、小紋をっ!
着物は一日(私の場合は3〜4時間くらいなんだけど)きたら、衣紋掛けにかけて、体温のぬくもりと、汗と、皺をとばし、半日ほどおいときます。その後、畳みます。
で、畳んだわけですよ、小紋をっ!
その畳むときや、たとう紙から取り出して次回に着るときに、人はいろいろ発見するんですよ、シミ・ほつれ・ヤケといったものを。
で、発見しちゃったんですよ、ヤケをっ!
それも衿のところに。
やられたーっ! ほんとうにやられたっ!
一言も言ってなかったもんな、あの店の人たち。照明が暗すぎたのも、今回の敗因の一つ。わかって売ってるとしたら、ちょっと商売人としてどうかとおもうわ。プン。
他の着物には「シミあり」とか「ヤケあり」とただし書きがあったけど、あの着物についてはそれがなかったから、単純に見逃しただけだったのかもしれない。
あいたたたたー、勉強しちゃいましたよ。
今回の教訓「照明に騙されるな!」。
はい、もう一度声にだして、「照明に騙されるな」。
でも、若奥様風の素敵な柄ですし、ヤケも目立たないようなので、何度も着るとおもいますけどね。
まっ負け惜しみじゃなくってよ! なくってよ!
2003.06.09
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