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「ちどり」という着物屋さんを始めました。

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タイトル

女浮世絵師・椿アンナ嬢と八丈島に行ってきました。
アンナさんと私は、年の頃も背格好も近いし、織物の趣味も似ているのだけど、似合うものはまったく違うという間柄。展示会なんかで「きぃぃーっ、これはあたいのよぅっ!」という事態に陥ったとしても、「あ・・・ごめん、これ私に似合わなかったわ」「あ、ホントだ・・・私のが似合う」というような関係筋でございまして、まぁ世の中って面白いですよね。
八丈島へ行こうとおもったきっかけは、「鳶八丈がほしいもんだねぇ」と話していた頃、たまたまANAで超割をやっていまして、往復17800円前後でいけることがわかりまして、飛行機で行くとはいえ都内だしじゃ一泊二日で行きましょうか、という、まことに身軽な身分ならではのお気楽なものでございました。
八丈島へは羽田から飛行機で45分、超割で往復17000円前後。正規料金でも往復で買えば21800円、大変近い東南の島。住所は、東京都八丈島八丈町。面積70km2、島の周囲は59kmで山手線のほぼ一周に匹敵、人口は約9,200人、東京・竹芝桟橋からは297kmの距離。船で行く場合は2等客船で5,730円、夜8時に竹芝桟橋を出発、翌朝5時頃に着くそうな。島にブロードバンドが導入されたのは2004年春。近いけれど、海の中の島、いったいどんなところなんだろうとワクワクしてたら、いきなり出発の日がやってきたのですよ。

さて、この話の前にまず黄八丈の話をしておきましょう。

黄八丈という織物は、みなさんもよく時代劇で見かけているのではないかと思います。それを着ているのは町娘、たとえば居酒屋や茶店で働く若い娘。鮮やかな黄色の地に茶色や黒色の格子の入った着物に、黒い襟をかけ、くるくる立ち働く姿などでよく登場します。「お出かけですか? レレレのレ」のあのおじさんが着ている着物も、黄色に黒の格子なので、もしかしたら黄八丈かもしれません。
この織物に使われている色は全部で3色。黄色、樺色(茶色)、黒色。この3色を元にし、地の色の分量の違いによって、黄八丈、鳶八丈、黒八丈などと言い分けます。
黄色は、刈安(かりやす、小鮒草=コブナグサ)という草から染めています。茶色はマダミの樹皮で染めマダミの灰汁で媒染、黒色は椎の樹皮を煮た染液で糸を染めてから泥染めをします。八丈の泥は鉄媒染の効果があるそうです。そういう話を聞くと、奄美の泥染めのことを思い出しますね。
そうやって染めた3本の糸を、格子や縞に織り上げてゆきます。
織り方にはいくつか種類があり、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)とを一本おきに交叉させる基本的な織り方の「平織り ひらおり」と、組織り点が斜めの方向に連続して斜線状をなす織り方の「綾織り」があります。この綾織りのなかでも、織物が市松状に織り上げられる「一松(市松)」、菱型の中に丸い目が浮かび上がるような織り方の「まるまなこ」が代表的なものに挙げられています。
市松織りやまるまなこの織物というのは、生地全体が夕陽の中で照り輝くような光沢があり、角度によって明るい黄色から渋い黄金色にまで変わるのです。「粋」という言葉を超えたなまめかしさがある織物で、織物の3色の配分の具合によっては相当ヌーディーな印象を与える場合があります。ヌーディーといっても白い肌理の細かい肌というよりは、南の島で太陽の光を存分に浴び、強い海の風にさらされ続けたたくましい女の肌のような。
平成の東京の町並みに似合いそうな八丈というと、鳶八丈なんかがよろしいでしょう。黄八丈は若々しいイメージが強すぎるので、この年代の女性となると鳶八丈に目がゆきがちなのですが、はてさて実際はどうだろう。山下八百子さんというこの世界第一人者の織り手の女性がいるのですが、できたらその工房も見ておきたい。あぁ、もしなにかご縁があったら着尺のひとつやふたつ・・・そんな野望を潜めつつ、予備知識はこれくらいにしていざゆかん八丈島へ。

(八丈島紀行 その2へ続く!)

2005.5.1

KIMONO MICHI −キモノミチ−着物道−きものみち−2003-2005